設立趣意書

 現在、障害福祉サービスの法制度は大きな転換期を迎えています。特に、障害者の一般就労を支援しようとしている事業所に取っては、今後の四年間が正念場となるでしょう。

「障害者自立支援法」を廃止し、新法を制定する動きの中で、2011年8月30日、内閣府に設置された「障がい者制度改革推進会議」が現行の障害者自立支援法に代わる「障害者総合福祉法(仮称)」の骨子(以下、骨子と呼ぶ。)を示しました。この骨子では、就労移行支援事業は、障害者就労センター(労働法を全面適用した就労の場)とデイアクティビティセンター(労働法を適用しない作業所)に再編されることになっており、一般就労に向けた支援・取組は政策の柱として示されていませんでした。

この骨子が示されて以来、私たちは、国会議員等に就労移行支援事業の存続を求めた要請書を示し、就労移行支援事業の重要性を訴えてきました。

厚生労働省が2012年4月に行なった調査では、2008年度から2011年度の四年間で、一般就労への移行率が20%以上の施設が9施設(全体の21.4%)から463施設(全体の40.1%)へと増加しています。障害者の一般就労は確実に進展しており、就労後の継続的支援が障害福祉サービスの中で徐々に定着しつつあるにも関わらず、一般就労の促進を障害者政策の柱としないのは、ノーマライゼーション理念に反しています。

この骨子を受けて2012年6月に成立した「障害者総合支援法」では、就労に関わる部分では現行の「障害者自立支援法」と大きく変わることはないものの、法の基本理念に一般就労の促進はなく、2013年4月の法律施行後三年間で障害福祉サービスの在り方を検討する、とされています。つまり、今後の法制度の検討如何では、障害者の一般就労は大きく後退してしまう可能性があるのです。

「障害者総合支援法」が成立した現在、様々な団体が2016年度に向けた活動を活発に行うと思われます。障害者の一般就労を推進するために、今後の四年間で以下の事項を達成することが必要です。

  1. 障害者の就労、ならびに就労支援の重要性を多くの国民に理解してもらう
  2. 障害者の一般就労を促す制度案を立案する
  3. 障害者総合支援法改正時に法案の中に一般就労の促進に向けた施策を盛り込む

この目的を達成するためには、障害者の就労支援に真剣に取り組んでいる事業所が団結し、就労支援の重要性をアピールし、ノウハウを全国に広げる活動が必須だと考え、全国就労移行支援事業所連絡協議会を設立いたします。

2012年8月22日